ご質問内容
インコタームズ2020についてICC発行の英和対訳版を読みながら勉強してます。その中で幾つか教えていただきたいことがあります。
①売買契約上はいかなる運送手段も想定しているのでCIPで締結する場合は、実際の運送において海上輸送のみの手配だったとしてもCIPとインボイスに記載して差し支えないでしょうか。
②荷送人と運送人の違いは何でしょうか。
③A7/B7の輸出通関/輸入通関において通関手続きを遂行し許可を得る義務については述べられていますCustom Invoiceなどの書類を発行することも含まれてますでしょうか。それとも習慣的に行われているかどうかは別として、そこまではこの規定では定められていないでしょうか。(EXWだけど売主にCustom Invoiceを作ってもらう、みたいな)
④運送における安全関連の要件とは、具体的にはどのような内容が該当するのでしょうか(いまいちピンと来ません)。
よろしくお願い致します。
ご質問有難うございます。
インコタームズに関することですね。
早速ですが、ご質問の①~④につきまして、以下回答させて頂きます。
①海上輸送のみの場合でもCIPは使用できます。CIPは規則Ⅰの『いかなる単一または複数の運送手段にも適した規則』に該当しますので、海上輸送のみの「単一」に相当します。
ただし、この場合の「海上輸送」はコンテナ船に限る、ということをご承知置き下さい。
②「荷送人」は荷物を送る側=荷主になり、実務上「売主」として使われる言葉です。
「運送人」は荷物を運ぶ側=船会社、航空会社、鉄道会社、トラック会社などの運送車両を所有し運航する会社を、あるいはFORWARDERを意味します。
③A7/B7に記載される輸出通関/輸入通関に関する記述ですが、そもそもCommercial I/Vがないと手続きができませんので、輸出通関までの費用を含むインコタームズであれば仰る通り売主が発行致します。(EXWは輸入者が輸出通関の手続きをしますが、それに伴う情報や助力を売主は惜しみなく開示すべきであるとも明記されており、売主がI/Vを発行すべきとは記載されておりません。
ですが、インコタームズはあくまでもルールでありますので、売主と買主の交わす契約書に『I/Vは誰が作成すべきか』を記載し署名されば、契約書が優先されます。)
④に関しては、英和対訳版上では唯一SOLAS条約を遵守すべく運航会社の指示に従うことが記載されておりますので、各国の経済法、安全保障関連規定に注意しながら、遵守に要する経費負担などは事前に確かめて、契約上に盛り込むことが大切だと思います。
以上となります。